人材派遣アンツシリーズ番外−三重派遣で責任所在を分散

2009/07/24

胴元人材派遣業者のほとんどは三重派遣でなりたつ

 人材派遣業のトラブルが相次いでいるようで、つい昨日も東京労働局が都内の人材派遣業者に労働者派遣法に基づく事業停止命令を出したという。この人材派遣業者は、別の人材派遣業者から派遣されてきた労働者を、クライアントである派遣先企業に、自社の派遣労働者として「再派遣」し続けてきたそう。

 こうなると「クライアント直」のこの人材派遣業者は、広告費も使わずに他の人材派遣業者から派遣労働者を引っ張ってきてクライアント工場に派遣し続けるだけで、正に奴隷商人の如く、右から左へのボロ儲けができるわけで、これほど美味しい商売はない。

 労働者の労働意欲に漬け込んで、中間マージン搾取のみで商売している人材派遣業というビジネスの中でも悪質なタイプ。

 しかし、実はほとんどの「クライアントと直」の人材派遣業者は、今回、事業停止命令を受けたこの人材派遣業者と同じ、「三重派遣」の形を何らかの方法でとっていることが多い。

DM業アテナが労災被害を無視するのも二重派遣・三重派遣で責任回避システムが確立しているから

 本紙追及の人材派遣業者アンツグループ(東京都千代田区神田佐久間町2-13-36藤波ビル3F)のような、人材市場ピラミッドの大多数を占める中間層であるほとんどの業務請負企業≠ェ「二重派遣・偽装請負」をやっている。であるから、その上に君臨する「クライアントと直」の胴元人材派遣業者らは、「クライアントと直」という立場さえ固辞すれば、下層に腐るほどある「二重派遣・偽装請負」の人材派遣業者群から適当に、最下層である「労働力」の供給を受けられる。

 この確立したピラミッドは将来崩れることはなさそうだから、今回の業務停止を受けた人材派遣業者のような「三重派遣」企業はなくならない。どうせ、ある一定期間の業務停止のみだし、ターゲットとされる企業のみ業務停止なわけだから、いくつも法人を設立しておけば業務停止自体が無効力で痛くも痒くもないわけだ。

 しかし、人災派遣業アンツグループが偽装請負の形で、DMサービス大手「株式会社アテナ(本社:東京都江戸川区臨海町5−2−2)」新東京物流センター(千葉県船橋市西浦3−6−1)という郵送DM仕分け作業作業現場に人材を派遣し、その労働者が労働災害を被った事件などを考えると「三重派遣」の労働者からみた大きな弊害がみてとれる。

 この労働者は、本来アンツの名目上の子会社、アンツネクスト社員もしくは最低でもアンツ社員の指揮命令下で働かなければならなかった。しかし、実際にこの労働者達を管理していたのはアテナ社の社員であった。この時点でもう労働基準法とか人材派遣業の法律にひっかかっている。

 労働者が労働災害事故に遭遇した時、アテナ社の社員はその現場にいたくせに、マニュアルなのか「こういった場合は人材派遣業者側の責任である」というスタンスを取るべく、その場から逃げた。

 アテナ社は、労災にあった労働者に対しても知らんぷり。アンツネクスト社長でアンツ社取締役である密山という男が、夜中にこの被災労働者の自宅を急襲し「労働基準監督署にチクるなよ」といった脅しをかけ、警察に捕まっても知らんぷり。

 そして先だって、この被災労働者が一年近くたつのに、派遣先でDMサービス業のアテナ社も、労働者を直接雇用していた人材派遣業アンツも両方とも労働者への謝罪を一切しようとせずに証拠隠滅を図ろうとするばかりなことに憤りを感じた労働者が直接アンツ社を訪れた。

製造業派遣禁止ではなく厳罰化でなければ2重3重派遣はなくならない

 しかしアテナ社は恐ろしい事に自分の会社で起きた労働災害の被害者に、39分もの間、会社の受付につっ立たせたまんまインターフォン越しでしか会話をしようとしなかった。

 このアテナ社の行動原理は、この記事のタイトルともなっている「三重派遣で責任所在を分散」させれば、派遣されている側のクライアント企業は一切責任をしょわなくてすむという自信から来ている。製造業への派遣一切禁止なんていう、わけのわからないことはかえって労働市場を混乱させることになり手間も大変であり、やる側は手口を変えるから、人材派遣業者とのイタチゴッコで大して効を奏さないだろう。

 それより、製造業派遣もぜんぜんオッケーだけど、度を越した場合は、度を越していると思われるほどの超厳罰を与える方がいい。相当の防いで不当な利益をむさぼった人材派遣業者に単なる業務停止命令だけであれば、現代の物価水準から比べて本来貰えるであろう自分の労働力供給の対価を3分の1から下手したら半分以上も中抜きされて貧乏しなければならない派遣労働者たちが浮かばれない。

 売国発言鳩山由紀夫民主党党首がいう、「民主党が政権をとれば日本中の労働者の最低時給を必ず1,000円に致します」なんて発言は、実行しようとしても莫大な数の人材派遣業者を含む民間企業を管理しきれるわけがない。最低時給1,000円保障の公約を実現しようとしても、しょせん中間マージンをむさぼる人材派遣業者を、間接的に潤わせ、喜ばせ、末端の労働者にはナンもいいことない政権交代になることだろう。

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人材派遣アンツの偽装請負二重派遣シリーズ