エスプール派遣業務成果報酬は合法か?

2009/04/10

派遣会社は偽装請負業務でも仕事なく、中堅潰れて悪徳業者が蔓延る気配

リクルートタウンワークの2月上旬のアルバイト求人広告で『(派遣)登録制軽作業、時給1,000円〜 株式会社antz(アンツ)』という求人があって、『antzなら仕事あります★飲み友&スノボ仲間もGET!?』というから、期待して派遣バイト登録してみたものの、アンツからは仕事の連絡が一切来ず、待機したままで「スノボ仲間」どころか、今シーズンのスノボ行くチャンス逃しちゃいましたよ、アンツ評判悪いです!≠ニいうメールが来たので、そんな愚痴ウチじゃなくアンツに直接メールか電話するか2ちゃんねるにスレでも立てて抗議しろ!というのをヤンワリ返信した。

 強気姿勢の麻生首相の好評判や内閣支持率の回復や、終値8,964円と景気回復の兆しを見せる日経平均株価とは裏腹に、派遣業界は発注される偽装請負業務の数が(アンツに限らず)激減し、不況感が抜けないらしい。

 偽装請負を続けてきた多くの人材派遣サービスは、請負業務が回ってこないからといって登録アルバイトスタッフの求人を止めると、まんいち緊急の請負仕事を振ってくれた取引先の要求に応えられず、仕事を潰すことになるから派遣業務がない状態でも登録バイト求人だけは続けなければならない。

 だから、タウンワークでよくある求人広告のように、バイトスタート時期が未確定でも『即日バイト可』とか、アルバイト案件が決っていないのに『アパレル系軽作業』とか『商品の検品、ラベル貼り、ピッキング』など、それらしいことを書いて、「45104510〜♪」とシゴトを探すタウンワークを読むフリーターの子達の気を引かなきゃならない。

 今年に入って派遣村騒動で請負ラインを切る製造業が激増し、人材派遣サービス会社の経営者の方が登録アルバイトの子達よりも『仕事探し』に関しては悩みが尽きないんじゃないか?派遣会社の方は経営を途中で放り投げるわけにも行かないわけだし。

 偽装請負が主の派遣会社は、とにかく資金力・現金力を元に緊急業務に対応すべく、日払いを最大メリットに、安い請負料金と更に安い日払い日雇いバイトの代金支払いの間のサヤを抜く、金融業的な資金運用感覚で乗り切っている。

 日払い日雇いバイト派遣のSBSスタッフにしても、アンツなど比べようがない日払日雇業者の大手だが、本当に利幅の薄いアウトソーシング=下請業務10円単位のサヤ抜きの昭和初期の日雇い人夫の胴元みたいな商売だ。日雇人夫業が評判悪すぎるから人材派遣業自体が禁止されてたのに派遣切り派遣切りと過剰に騒いだせいで、中間層のグレーゾーン派遣業者≠ェ居なくなって大昔の日雇人夫屋みたいな悪徳業者に利用者たる労働者が流れる事となった。

 派遣労働者の子らは失業保険だ生活保護だに頼らず自活したいのに、年末年始の派遣村騒動のせいで派遣労働環境が悪化し、まともに働こうとすればシフト調整待ちのシゴト無し一週間・二週間はザラ、SBSのようなところで働けば、半日以上働いて手取りが6,000円を切る、なんて悲惨な状況。

 派遣村名誉村長の自己破産弁護士、宇都宮健児が自己の利益のために「サラ金規制、サラ金被害」を訴えたから、中間層のサラ金・マチ金業者≠ェ居なくなって、最下層のヤミ金業者が儲かって、さらに自己破産弁護士や自己破産司法書士がぼろ儲けしてるのと、今の派遣労働環境は同じ構造。

エスプール、成果報酬型派遣の悪徳

 日給6,000円を切っても、安易に派遣切り相談や生活保護に頼らず、偽装請負会社で働き自活しようとする派遣労働者の努力は痛々しい。アンツやSBSスタッフもエグいが、フリーターやニートを元気にしたい!アウトソーシングのヘラクレス市場上場、株式会社エスプール(S-Pool)」という成果報酬型派遣を謳う下請業務の人夫出し胴元会社(エスプールクラブ共済金という名目の労働者搾取システムまで作って徹底したフリーター殺しの貧困喰いビジネス)はさらに悪どい。

 昔からインチキポスティング広告代理店にはよくある商法だが、USENのGyaoなんかのインターネットサービス加入販促チラシをポスティングさせてUSENインターネットの契約が決り、加入代理店としてのエスプールに払い込みがあったら、ポスティングしたバイト君にも成果報酬で高額の歩合給料が入るという、途方も無く信用できない商売にエスプール本体だか子会社だかが手を染めているそう(ポスティングの歩合といったら配った枚数×1枚?円とやるのが普通)。

 エスプールの派遣サービス業としてのクライアントへの最大の売りは、成果報酬型派遣というナンだか胡散臭いセールスポイントだ。

この
「君が配ったUSENのチラシで、いつか『USEN加入』があってUSENからエスプールに入金があったら、その時は成果報酬として高額な歩合をエスプールから君に払ってあげよう」
というインチキくさい絵空事。

 しかし、これも不況の中、失業したがあくまで自立自活したいと考えている若者にとっては、「高額成功報酬歩合といっても一軒一軒個別で飛び込み営業しても、USENに加入したい人に行き着くには時間がかかる。だったら、自分の足で出来る限り大量にチラシを撒けばUSEN加入したい人に届くのに効率いいんじゃないか?」という緊急時に陥りやすい倒錯した考えを起させ、タダ働きをさせるモチベーションには最高かもしれない。

 成果報酬のフルコミ営業とかいって求人し、ホントに歩合営業マンさせるならいいけど結局ポスティングをすることになるそう。エスプールからポスティングするバイトの子達には、成果報酬型の高給歩合だからと給料を払わず、エスプールの方はクライアントからちゃっかり広告宣伝費用を貰っている訳だから元手は0円の恐ろしい商売である。1週間くらいで精神的な限界(+疑惑)がきてやめちゃうアルバイトの子達は最初から成果報酬型アルバイトと含められているわけだから文句も言えず泣き寝入り。

 そもそも正社員営業マンとしても成果報酬型の完全歩合なんてのは最低賃金法に触れるのに、エスプールの場合、本来なら固定給の賃金雇用して従事させるべきポスティングという労働力提供を「フルコミ・出来高歩合・成果報酬」という言葉にすりかえ、フルコミ出来高を配ったチラシの枚数(普通はこれだろ?)じゃなくUSENの契約が取れたらというアフィリエイト詐欺よりもムシのいい話にし、結果、ていのいいタダ働きをさせているという。そもそも商品である労働力を提供してくれる労働者個人に、(個人請負業なんだという詭弁を使おうとも)その中間マージンによって儲けるエスプールのような派遣会社と同様のリスクを負わせる事、つまり仕事を成果報酬型でやらせる事は、合法なのだろうか?

 ヘラクレス市場上場企業だから、そりゃ合法だろうがそれはあくまで派遣業法を悪用しない「性善説」が前提の合法じゃないのか?エスプールの株価は2月中旬の底値から比べたら上昇してるらしいが、このような企業を調査も入れず上場させ続けるヘラクレス市場に疑問を感じざるを得ない。

(ちなみにSBSスタッフの親会社、SBSホールディングスの株価も2月中旬を底値に堅調に上がっているが、こんな偽装請負がネックになってる不況っ風にさらされた危なっかしい商売、なんで株価だけ上がるかな?)

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人材派遣アンツの偽装請負二重派遣シリーズ