準大手ゼネコン「戸田建設」の協力会社?が巨額脱税、当紙質問状回答には「具体的にお答え致しかねます」

2011/06/08

 東京電力の福島第一原発事故をめぐる報道で、協力会社というフレーズを幾度となく耳にする。事故現場で奮闘する東電社員と協力会社といった具合だ。言葉を素直に聞くと、東電の懇願を受け業務をサポートするという、一見対等な立場にあると理解されなくもない。

 しかし、実際は東電と協力会社の間にはとてつもない格差がある。例えば、東電の技術系社員が建屋内外で作業をする際、その前裁きとして放射能塗れの瓦礫撤去や、高い放射線の中で足場を組むといった下働きをしているのが、協力会社なのである。

 謂わば、東電社員の安全を確保するが為に、協力会社が人海戦術をもって作業環境を整えているということだ。更には、協力会社もまた、現場に送り込む作業員の多くを、日給月給の日雇い人夫で賄っている。

 原発という特殊な現場で、高度な経験や知識を必要とされるのは東電社員や一部の協力会社社員であり、前線で放射能を浴びつつ単純作業に従事しているのは、言葉は悪いが一山ナンボの日雇いなのである。実際、福島県のハローワークでは、年齢・経験・資格一切不問で、日給1万円そこらで求人情報を出している。

 当然のこと、雇用形態は正社員以外という、正に使い捨てである。協力会社というと聞こえはいいが、その実態は単なる下請け・孫請けに過ぎないのだ。この協力会社という都合のいい呼称は、ここ数年、元請と下請けの線引きが最も過酷といわれる、建設業界でも使われるようになってきた。

 建設業界では元請は王様であり、その下僕として仕えるのが下請け孫請けである。因みに、王様でさえ平伏するのが神様であるお役人様だ。建設業界に身をおくまでもなく、役人>ゼネコン>下請けの極端なまでの階層組織は皆が知るところである。

 スーパーゼネコンと称される大企業は、役人に媚び諂い、時には政治家の援護を受けて公共工事を獲る。民主党政権下で公共工事が激減した今、水面下での受注合戦は熾烈を極めているが、その影響をもろに被るのが零細の下請けとなる。

 それでも、飯を食う為には大手のご機嫌をとり、袖の下を用意してでもぶら下るしかないのである。

 さて、従順でなければ生き残れない零細下請けのなかで、準大手「戸田建設」に可愛がられている、東京都練馬区の建物解体業「中嶋土建」が、3億円脱税容疑(隠蔽所得10億円)で東京国税局から告発された。

敬天新聞社/吉永 健一

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