2010/07/15
神奈川県の三浦半島相模湾にある葉山港。我が国のヨット発祥の地として、何より、主に2〜3月の間に、天皇陛下がご静養に訪れる葉山御用邸のある地として、国民に周知されている。その葉山港が、松沢成文県知事の非常識な行政判断のもと揺らいでいる。尤も、当の本人には自覚すら無いのかも知れない。
松沢成文は松下政経塾出身にて、衆議員から生まれ育った地元(川崎市)の神奈川県知事へと転身し、現在は2期目となる。マスメディアへの露出も多く、その認知度は全国規模である。最近では、中央政府に対しても、はっきりと物申す知事も多く、地方自治を担う首長の存在感が増しており、なかでも松沢成文は代表的な今時の知事といえる。
しかし、港町育ちの慶應ボーイ(中・高・大学)という坊ちゃん政治家には、どれ程の政治経験を積もうと、世間一般の常識を理解する事は難しいようだ。注目を浴びる表舞台では政治経済を小気味よく語り、時には舌鋒鋭い追及は出来ても、泥臭い案件や厄介な判断が必要となる場面は、育ちの良さからか極力避ける傾向があるようだ。
さて、神奈川県は昨年4月、葉山港の管理運営を託す指定管理者の募集を行なった。指定管理者とは、定められた契約期間中、公施設を包括的に管理運営(営利事業も含む)する代行者のことだ。同応募には数社(団体)の候補者が名乗りを上げ、質問受付・現地説明会・プレゼン及びヒアリングと、規定のスケジュールを経て、最終的に県議会の議決を以って、10月に指定管理者の指定告示がなされた。
競争を勝ち抜き、晴れて葉山港の指定管理者となったのが「株式会社リビエラリゾート」(逗子市小坪5-23-9)であった。指定期間は平成22年4月1から同26年3月31日の4年間である。リビエラリゾートは、逗子マリーナ(逗子市)とシーボ二アマリーナ(三浦市)にて、マリンリゾートを手掛ける企業である。
近年では、ブライダル事業をマリーナ内にて展開するなどし、競合他社との差別化をはかり業績を伸ばしている。葉山港の効果的かつ効率的な運営を請負うというならば、リビエラリゾートには経験値からして十分資格があるといえ、その点を否定するものではない。無論、指定管理者選定に従事した「県土整備部指定管理者選定委員会」の当時の判断に、難癖付ける気などは毛頭ない。
敢えて苦言を呈するとするなら、リビエラリゾートの代表取締役である、渡邊昇の人となりである。県は企業代表者の人物考査を徹底するべきであった。