ニチロ(現マルハニチロHD)架空豚肉詐欺事件の背景『裏ポーク商人』飯島健二(飯島商店=茨城)の錬金術(6)

2011/05/12

 一切れの豚肉もないのに「冷凍倉庫に数百トンの豚肉がある。差額関税を逃れたブツだから安値で卸す」と、当時の冷蔵庫所長であった堺敏美とブローカー滝義洋(服役中)が食肉業者に持ちかけた詐欺事件。

 被害者の一人は『裏ポーク商人』として業界に名が通る飯島健二(飯島商店=茨城県土浦市)だ。飯島健二は通常、業者が抱える、だぶ付いた豚肉を担保に、金を貸し付けるのを生業としている。

 但し、貸付金回収による利ざやが目的ではなく、担保した豚肉を独自ルートで流通させて儲けることを主流としている。

 担保流れを承知した上で飯島健二から金を摘む業者は兎も角、そうでない業者は「豚肉を勝手に処分された」と騒ぎ出すのは当然で、飯島健二の周辺では騒動・争いが絶えないという。

 豚肉の借りは豚肉で返すとばかりに、飯島健二は息子までも卑しい稼業に引っ張り込み、親子二代で豚肉取引と金勘定に明け暮れている。この詐欺事件では後にローソン子会社特別背任罪の共謀者として、懲役4年6月の一審判決を言い渡された岩本陽二も、ローソン子会社からの流用資金を滝義洋に投資して、辛酸を舐めることになる。

 斯様に、食肉事業のなかで取分け輸入豚肉事業の分野は、魑魅魍魎が渦巻く巣窟といってよい。では、ニチロ架空豚肉詐欺事件からローソン子会社特別背任事件の流れで、誰が得をし損をしたのであろうか。巨額の損害を被ったローソンは、子会社が犯した犯罪の尻拭いした最大の被害者である。

 一方、マルハニチロホールディングス(当時ニチロ)は、事件は冷凍倉庫所長が犯した個人犯罪として、被害者の賠償にも応じていないようだから、実害は殆どないといえる。加えて、有名企業を舞台とした巨額詐欺事件であったわりに、何故か報道量は少なく、消費者からのバッシングは皆無に等しかった。

 また、ブローカー滝義洋と、豚肉素人の岩本陽二の仲介に潜り込んだ業者は、結構な額を稼いだようで、今では銀座で複数の高級クラブを経営するオーナー様である。そのオーナーは「ニチロに対し数億円の債権がある。岩本さんに譲渡するからニチロから回収してください」と、逮捕前の岩本陽二と和解をし、いち早く無関係を装っている。

 因みに、ニチロを相手に債権回収にあたっているのは岩本陽二ではなく、突然現れた第三者である。斯様に、強欲な人間が入り乱れる中、「ニチロの倉庫に豚肉がある」と、別件で銭を引張った輩がいる。

 今年3月、南野陽子と結婚した金田充史だ。

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