倒産相次ぐ美容業界を後目に、怪しい脱毛で荒稼ぎ

1,000円脱毛で顧客を誘うエステティックTBCの欺瞞

2010/06/17

 本年5月、「神奈川クリニック」が倒産した。カナクリの愛称で全国に美容外科院やレーシック院を展開していた医療法人社団「博美会」(山子大助理事長)は、5月6日に東京地裁へ自己破産を申請し、破産手続き開始決定を受けた。因みに負債額は68億円である。

 神奈川クリニックについては、保護者未承諾の未成年者に対する施術行為や、時給制によるパート医師の大量雇用といった件で、過去に糾弾した経緯がある。広告宣伝費を湯水の如く垂れ流し、絢爛豪華な病院施設に最新の医療機器を揃え、売上高は直近でも100億円を越えるまでに膨張していた。

 ただし、広告とは乖離した施術内容や料金差異に加え、肝心かなめの医療技術が伴わず、患者とのトラブルや訴訟沙汰は日常茶飯事で、ヤクザ紛いの恫喝を受けて泣き寝入りするケースも多々あったと聞く。

 潰れるべくして潰れたに等しいが、銭をたんまりと隠し持っているであろう山子大助にとって、法人の自己破産など瑣末な問題でしかない。破産に伴う面倒事は申請代理人の尾崎純理弁護士に丸投げし、今頃は何処ぞのリゾート地で羽を伸ばしているかもしれない。

 所詮、割を食うのはいつも弱者である。役務を残した顧客は事業譲渡先の美容外科へと移行するかもしれないが、施術内容や料金後発生等の問題もあり、先行きは不透明である。さて、近年はレーザー脱毛の施術に特化した美容外科が多く、同分野での競争は激化していた。

 しかし、美容外科の最大の競争相手は同業者ではなく、街中に乱立するエステ業者だったのである。医療レーザー脱毛を本道とする美容外科側は、エステのそれを「真似事」とし、エステが施す針脱毛は医師法違反であると吼えていた。

 対するエステ業者は、用いる機器は美容機器であって、方法も針を刺すのではなく毛穴に入れるだけ(なんのこっちゃ)と詭弁を弄してしている。医療機関である美容外科と自称エステが、巨大化した脱毛市場の奪い合いの争点が、この不毛な言い争いなのだ。

 そもそも、国が法整備をきちんとやり、警察等も摘発基準を明確に示し行動していれば、こういった馬鹿げた論争も封じ込めれた筈だ。しかし、せっかく膨らんだ業界に水を注すことなく、利権の温床にしようとする関係官庁の思惑さえも透けて見える。

 何れにせよ、脱毛市場の奪い合いは、エステ業者に軍配が上がった気配だ。今後、その際たる勝者ともいうべき「エステティックTBC」に着目し、問題点を洗い出していく予定だ。

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