日本郵便=被害者から幇助犯・教唆犯へ

2009/05/19

 障害者団体向け郵便料金割引制度を悪用した郵便法違反事件で、障害者団体を偽装した違法ダイレクトメールと知りながら発送を不正に許可したとして、大阪地検特捜部は、郵便法違反容疑で日本郵便・新大阪支店長を逮捕、新東京支店・総務主任も今日明日中に逮捕する方針だそうだ。

 新大阪支店長は、兵庫の障害者団体の刊行物を偽装した「健康飲料通販キューサイの青汁のDM」の発送を許可し、正規の郵便料金との差額を不正に免れさせた。総務主任は偽装障害者団体白山会の刊行物を装った「ベスト電器のDM」の発送を許可し、正規の郵便料金との差額を不正に免れさせた。

 問題の違法DM(偽装障害者団体刊行物)は、制度の要件を満たすかどうかを事前に支社支店で審査される。

郵政省郵便局時代からのずさん経営

 そして本物の障害者団体刊行物か?障害者団体偽装の違法企業DMか?を見分けるための、封筒部分や発送数を確認できるのは、差し出しを受けた支社支店。そして発想を許可する権限を持つものは支店ごとに限られており、新大阪支店では支店長。新東京支店では総務主任がその権限者だったということか。

 違法DM(偽装障害者団体刊行物)は、1回の発送数が障害者団体が発行する量としては明らかに多く、障害者団体の刊行物としては不自然だったのに、両支店で発送を許可する権限を持っていた2人は黙認したと言っているそうだ。

 本当は、黙認という「受身」の形じゃなく、この違法DMに対し、能動的に受け入れる体制が日本郵便の各支店にあったんじゃないかと思われるのだが?(本紙に告発のあった石川県金沢中央郵便局などは違法DMのコンサルティングを幹部自らがウイルコの担当者に指南していたという。いくらウイルコの本社所在地とはいえ、石川県金沢の日本郵便だけが障害者団体向け郵便料金割引制度を助長していたわけではないだろう)

 また日本郵便は、差し出し状況が異常の場合は違法行為の疑いを鑑み、支社に報告するよう定めていたが、新大阪支店は報告せず、日本郵便も細かく追求することを怠っていた。

 違法なダイレクトメールの横行には、郵政省郵便局時代から綿々と続く日本郵便、いや日本郵政グループのずさんな経営管理体質が原因しているのではないか?

幇助犯・教唆犯としての郵便局

 大阪地検特捜部は日本郵便本社や新大阪支店、近畿支社などの家宅捜索を始め、東京都千代田区霞が関にある「日本郵便本社社長室」なども捜索したようだ。郵便法では、「郵便社員」が郵送料を不正に免れる行為にかかわった場合、ウイルコなどの企業が受ける罰金30万円以下という懲罰よりも重い懲役1年以下か罰金50万円以下が科せられるそうだ。郵便局の支店長も楽に見えて楽じゃない。

 障害者団体向け郵便料金割引制度を悪用した郵便法違反事件は制度を運用する日本郵便側が刑事責任を問われる事態に発展した。被害者面をしていた割には、本紙がいくら日本郵政本社に街宣車を乗り付けて、「ウイルコや新生企業を告訴せよ」と、抗議街宣を行っても、ずーっとダンマリで民事の損害賠償しかしなかったのは、加担していたからだったのか?

 本紙はウイルコを糾弾すると日本郵便のお役に立てるのかな?と思って善意で街宣していたのに、逆に、本紙に対し街宣禁止の仮処分をかけるために、日本郵政本社の中で遊んでる暇な社員達に命じて、本紙街宣スタッフをずっとDVD撮影してやがったくらいだから、やっぱりやましくてうしろめたくて、いつ自分のところに捜査の手がおよぶかビクビクしていたんだろうな、日本郵便の「幇助犯・教唆犯」達は。

 障害者団体向け郵便料金割引制度の不正利用を総務省から業務改善命令を受ける形で指摘され、日本郵便は昨年12月以降に調査を開始したところ、大量差し出しを受け付けた全国支店のうち、日本郵便の地方支社に報告していたのは2支店だけだったというから驚く。

 ウイルコや新生企業などによる大量発送は、障害者団体向け郵便料金割引が適用されて、格安で引き受ける場合であっても、一度に多額の郵便収入が期待できるため日本郵便の各支店では不正と知っていても許可してはならないと分っていても麻薬のようにズルズルと利用し利用されというつきあいが続いてしまったわけだ。

郵便局員、JP労組の連中に民営化見直しを訴える資格なし

 また、ただでさえずさんな郵便局の受け付け体制では、多忙期には客を待たせる度胸もなく、「自分が損するわけじゃないし、早くしないと上司に怒られる」という、社会人として許されないほど甘ったれた発想で障害者団体向け郵便料金割引制度の悪用を黙認し続けていたわけだ。そりゃ、バイトのガキが年賀状はがきを大量不法投棄するのを責められないよな。

 結局、この障害者団体向け郵便料金割引制度を悪用した詐欺まがいの郵便法違反は、通常1通120円のところを約8円で発送した差額112円分を税金で補填し、日本郵政や障害者偽装団体を擁護した愛知4区の牧義夫をはじめとする悪徳議員らが利益を得て、国民が尻拭いをするという、いつもの議員がらみの不正事件と同じ結末。

 しかし、これを看過し蔓延させた日本郵政グループの西川善文がかんぽの宿の責任も取らず、日本郵政の社長を続投というのもおかしな話だが、郵政省郵便局時代からこの障害者団体向け郵便料金割引制度を悪用した詐欺まがいの郵便法違反を延々と続け、実は儲けていた野郎もいたかもしれない「反郵政民営化」のやつらが責任も取らないまま西川を糾弾し、「郵政民営化見直し」を唱えるというのも、世も末のキチガイじみた話である。

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