社主の独り言(中辛)

(2010年11月号 第159号)

▼韓国と争いになれば韓国人が嫌いになるし、中国とトラブれば中国人が嫌いになる。これはごく普通の日本人の感情である。ところが瀕死の重傷を負わせられ国土を焼け野原にされて、しかも世界初の原爆実験をされ、本来なら米英畜生として百年の恨を忘れてはならない筈なのに、そのまま子分のような仲間のような関係に組み入れられ、すっかり一番のパートナーになってしまった。これも日本人の気質だろうか。アメリカGHQの日本精神解体戦略が効を奏した結果だろうか。
 ただ国民性なのか、国力の貧しさからなのか分らないが、満州からの引き上げ者だった母は、帰国途中、何度か検問を受けたらしいが、検問兵がロシア人や中国人だったら問答無用で身包み剥ぎ取ってしまうが、アメリカ兵だったら「これは親からの形見だ、とか結婚指輪だとか言えば、その貴金属を見逃してくれた」と何度も話してくれた。たまたま出会った兵がそのような印象を与えたのか、やはり国民性なのか、中国人やロシア人には下劣さがあるのだろう。
 よくアメリカ映画を見ていると、大体悪者はロシア人、中国人、日本人、である。本当はキリスト教も一神教で他宗教を認めないイスラム教、ユダヤ教と同じであるが、イメージ的には紳士的で優しさのある宗教に見えるのだ。世界もキリスト年が基準となりつつあり、公用語も英語だ。あの小さな英国とその兄弟国であるアメリカが中心となって、近代世界をリードしてきた。戦略に長けた国であることが分る。
 戦後教育は西洋思想優位論や個人主義を強調することで日本の大家族主義を壊し、村社会を壊した。家長制度にも一長一短はある。個人主義、人権主義は一見、耳障りがいいし暮らし易い。誰かが保証してくれるなら。どの国の歴史を見ても、その文化や伝統風習を見てもケチを付け、つけ入る隙はあろう。
 アメリカの場合、一度介入したら、その国で一番弱い立場の女・子供のような弱者救済の人権から入ってくる。解放・援助・協力である。その国の半分以上は女性と子供だから、その人達に援助を申入れ、洗脳されたら、その国は一溜まりもない。だが、男と女の生まれ持った才能と資質というものが根本から違うことも併せて知るべきである。
 今後、日本は進むべき道として、アメリカの五十二番目の州になるか、中国の属国になるか、そのどちらでもない自主独立国を貫くか、を選ばなければいけない日が早番来るだろう。前政権(自民党)も現政権もパートナーや対等を口にするが、中身はとてもそうとは思えない。
 誰でもどの国でも代表として出てくる者は、自国民の期待を背にし、その利益確保を第一義に話し合いに出てくる。そんな時、鳩山のように友愛です、宇宙です、と言ってたら口先だけの「ありがとう」を言われて素通りされてしまう。
 代表者達は常に目の前の危機に迫った話しに命懸けで神経を注ぎ、負けたら戦争も辞さない覚悟で望むのだ。男の覚悟とは負けたら死を意味する。そのことを今の日本国民は忘れている。男の世界では戦いはいつの時代でも避けられない。男は家族を守る為、国を守る為、一時も戦うことを忘れてはいけないのだ。

▼今回の大阪地検特捜部事件は自民党の終焉に似ている。証拠改竄というのは余り聴いたことはないが、検察官のストーリーに沿った調書強要や作文というのは昔から多くあった。私自身も経験の少ないうちはよく乗せられた。
 自分の意見を言えば『否認している」もしくは「反抗している」と解釈され、怒鳴られ、脅される。逮捕された側から見ると、ここで検事さんを怒らせると別件を幾つも重ねられて、罪を重くされてしまうのではないか、と不安になるのである。そこで罰金ぐらいなら、まー、いいか、と妥協して略式起訴された人は多いと思う。
 ただ捕まる者の90%以上は犯罪者と呼ばれる者が多いため、世間からの同情は得にくいし、悪いことをしている者に対して優しく接すれば、つけあがり嘘をいう者も多々いるため、多少の恫喝もやむを得ない面もある。今回捕まった近藤という元検事は長年の慣習の続きとして錯覚したのだろう。
 村木厚子女史を一般の犯罪者と同様の感覚で取り調べたのではないか。そこで彼女が頑強に否認するものだから「生意気だ」と思って、いつもの習慣で脅す。それでも言うことを聞かないので、後先考えずに持ってる証拠品を改竄したのだろう。たまたま石井議員が依頼したという日、ゴルフに行っていたというアリバイがあったからよかったものの、もしアリバイがなければ、無理やり犯人に仕立て上げられた可能性は高い。
 これが一般人なら間違いなく犯人にされたろうし、誰も関心を持ってくれない。こういう検事としての自惚れが今回の事件を招いたことは間違いない。我々みたいに確信犯的事件で前科が一つ増えたとしても大したことはないと考えるような者は、総体的な考えで検事さんとのやり取りを考えるが、村木女史のような全く身に覚えのない事件で、しかも自分の人生に前科がつくという事は家族末代までの恥という生き方をしている人にとっての覚悟の程を前田元検事は長年の慣習から見抜けなくなっていたのだ。
 その癖、こういう男に限って小沢のような権力者には弱いのだ。しかし大坪氏と佐賀氏は気の毒としか言いようがない。満天下に曝されたから批判を受ける立場になってしまったが、私も同じ立場なら組織を守る為、同じ命令を下したことだろう。
 今となっては「部下が故意に証拠を改竄致しました。それは上司である私の責任です」と言って辞表を書けば一番かっこよく被害も少なかったろうが、その時点では間違えて入力ミスしたことで終らせられると予想していた訳だから、そしてそれが一番の検察組織を守る方法だと考えての結果だから仕方がない。しかし日本人の男なら同じ立場に置かれたら、結果は運否天賦だが9割以上の人が同じような判断をしたのではないか。
 それにしてもこの判断に真っ向から反対を唱えた検事がいたというから、それだけでも検察の良心を見た思いで嬉しかった。検察とて人間だから名誉欲も出世欲もある。今回の件では手柄を独り占めしようとした前田が悪いのであって、他は被害者みたいなものである。しかし前田のようなものが検察の中からでてきたという事は、検察の驕り高ぶりの何モノでもない。
 今回の件で大阪特捜の解体が叫ばれるかもしれない。特捜というのは政治家を始め、大物・大型の汚職事件を専門とする場合が多い。その中心は何と言っても首都であり帝都である東京である。大阪地検特捜部の軽はずみな行動に比べて流石に東京地検特捜部は慎重である。国民の8割が黒ではないかと疑っている小沢の政治と金の問題でさえ、不起訴にした。
 こういう問題が起った時、一番困るのは、その組織に対してマスコミが集中攻撃することだ。機に乗り遅れるな、と言わんばかりに過去のミス判断や終った不正を引っ張り出してくる。結果検察の弱体化につながり、犯罪者や隠れた外国人等を喜ばせることになる。
 パチンコ屋利権のように行き過ぎた警察権力の行使はよくないが、国の防衛を任務する自衛隊、国の治安を守る警察、犯罪を追及する検察というのは、国の守りの要であるわけだから、これらを弱体化させることは敵国を喜ばす結果につながるのである。
 早速、前田から調書を取られた小沢の秘書である大久保がその調書について、前田の作文であると言うクレームをつけた。前田のことだから大久保の言う通りやったかも知れない。そういう事も含めて、東京地検は二度目も小沢を不起訴にしたのかも知れない。一人の馬鹿の為に色々な所に影響するのだ。
 私自身は検事さんに調書を作文された事も恫喝された事もある。或いは痛み分けで握ってもらった事もある。事件が微罪な物は検事さんのサジ加減一つという事はよくあるのだ。
 両方の経験がある立場から物申すなら、やはり犯罪者を追及する立場なら多少の恫喝や駆け引きはやむを得まい、と思う。証拠改竄は言語道断だが、そこまでやる馬鹿は滅多にいないと思う。正しく検察の驕りが産んだ犯罪だったと思う。反省と戒めと毅然と凛と、そして粛々と、秋霜烈日頑張れ。

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