「私は塩谷立先生に頼まれた」浜井卓男静岡県議長の言い分

(敬天新聞6月号)

静岡県議会議長浜井卓男の経歴

 静岡県議会議員に六期連続当選。そして、現在は静岡県議会議長の要職に鎮座しているのが、自民党の浜井卓男(浜松市西区選出)である。県政上の経歴を見る限り、ご立派な人物である。
 しかし、有権者の目は至って冷ややかである。
 政治活動とは無縁であった浜井卓男が、何の前触れもなく昭和六十二年の県議選に立候補した当時、周辺では「どうせ銭儲けのためだろう」「信用もカネもない男がどうして?」と、蔑視の気持ちで眺めていたそうだ。
 ところが、何処からか調達してきた潤沢な活動資金を背景に、予想外にも初当選を果たし、今日まで県議を継続するに至っているのだから不思議なものだ。とは言え、もとより政治家の器でない浜井卓男は、選挙はいつも当落線上の厳しい立場であった。
 ところが、六期目の当選に望んだ平成十九年の県議選からは、其れまでの浜松市一円の選挙区が七地域に細分化されたことで、定数二の浜松西区が無投票当選となる幸運に恵まれたのだ。
 その前の平成十五年の選挙結果が、定数十二に十三人の立候補者があったなかで、十二番目の投票数で当選したことを思えば、浜井卓男はトコトン運の良い男といえる。
 そんな、運だけで県議にしがみ付いている浜井卓男が、尊敬(腹の中は不明)してやまないのが、塩野立(しおのや りゅう=静岡県第八区=東海ブロック)衆議院議員だという。

静岡県第八区=塩谷立 衆議員

 塩谷立は、自民党最後の麻生内閣に於いて文部科学大臣を務めた経歴を持つ。何より、世襲議員として長きにわたって静岡県を代表する政治家として君臨している。
 ただし、この先生もまた御多分に漏れず「政治とカネ」問題では不祥事を繰り返しているのだ。
 例を挙げれば、秘書給与の肩代わり・資金管理団体スタッフの労働保険未加入・政府補助金受給業者からの違法献金等々と、絵に書いた汚れ政治家といえる。
 カネへの執着心だけで県議となっている浜井卓男が、カネ絡みの悪事を平然とこなしつつ、政治家として居座る塩野立を、目標とし尊敬しているというのも頷けなくはない。

乗っ取りの内情は、漏れまくり

 さて、静岡県庁から尋常でない指導監査を受け、窮地に陥っていた岡崎保育園(湖西市)の理事に接近し、「私が理事長になれば全てを解決させる」と豪語したのは浜井卓男であった。
 浜井卓男が、ドサクサに乗じて岡崎保育園を乗っ取ろうと意図していたことは既に明白である。
 当時の理事に対し「ことが済めば理事に戻す」と諭し岡崎保育園の運営法人から追い出した後、自らの後援者で法人理事会を固めた。
 更には、僅かな利益も逃すまいと考えたのか、実弟を送迎バスの運転手として雇用したり、娘婿をサッカー講師として招くなどし、岡崎保育園を牛耳るがために積極的に動いたのである。
 しかし、保育園一つを運営したところで、たいした実入りがないことに気付くのである。今後も、先々まで県議で有り続けるつもりなら、保育園の理事長職はアピール材料にもなるだろうが、今の任期が終われば引退するというのが地元有権者の声だ。
 尤も、次回の県議選にも立つと言った所で、誰にも相手にされないといった現実がある。何れにせよ、選挙を見据えた政治活動など全く意味がない以上、カネ儲けしか頭にないなかで「ちっとも儲からないじゃないか」という考えに至ったと思われる。
 結果、県議会議長の政治力を以って岡崎保育園の運営正常化を成したうえで利益を吸い上げるという計画を捨て、手っ取り早く売り払ってカネにしようと考えたのだ。
 勿論、社会福祉法人が運営する保育園を、通常売買することは出来ない。表面上は、静岡県庁の指導を受けた形で、県下最大の社会福祉法人「聖隷福祉事業団」(山本敏博理事長)が、善意として運営を継承する形に落ち着いたのである。
 保育園経営が儲かると思い乗り込んだことは、少なからず誤算だったとしても、表に出ることのない多額の売却益を得た浜井卓男にしてみれば、一銭の持ち出しもないなかでの丸儲けという「完璧な商売」が成立したのである。
 しかし、こやつ等が完璧だとした保育園乗っ取りは、所詮は裏取引に過ぎない。利害関係者が秘密を共用している限り、表沙汰にはならないと高を括っているかも知れないが、噂として漏れ伝わるものを防ぐ手立てはない。
 本件絡みで園内が騒然としていた当時、園児を通わす保護者の多くは沈静化のみを望んでいたという。勿論のこと、現場の保育士等も同様に、県庁による執拗な追求に不信感を覚え、更に新理事長となった浜井卓男へ疑惑を抱きつつも、職場の安定を第一に願っていたのは無理からぬことだ。
 ところが、卒園や退職で立場や環境が変わり不利益や危険が遠のくと、無理して口を噤んでいた反動で、いろんな情報が漏れ出すのである。これこそが、本紙が本件疑惑を知るに至った経緯であり、その後の取材活動で真実を知る上での様々な情報源となったのである。
 そもそも、県庁が指摘してきた岡崎保育園の運営不備については、行き過ぎた追求の感は否めないもので、特に刑事告訴をちらつかせた県庁職員の脅し紛いの言動は、職域を著しく逸脱・脱線した行為であったと言わざるを得ない。
 もとより、瑣末な事とまではいえないものの、理事の刑事責任追及や保育園の閉鎖へと発展するような事案でなかったことは確かなようだ。
 岡崎保育園と県庁の間には、以前より学童保育の実施にあたり何度か衝突を繰り返し、その都度、園側に県庁がやり込められていたことが、他の同業保育園でも話題となるなどしていた。ある意味、県庁側の一方的な遺恨による狙い撃ちとさえ疑いたくもなるが、混乱に乗じて岡崎保育園が事実上乗っ取られたことだけは間違いない。

乗っ取りは塩谷先生に頼まれた

 ところで、本紙による追求が始まってから、保育園乗っ取りの絵図が綻び始めてきた今、浜井卓男は周辺に「岡崎保育園への介入は塩谷立先生に頼まれたものだ」と、暗に塩谷立が黒幕であると言わんばかりに弁解をしているという。
 大臣経験者とはいえ、先の選挙では選挙区で敗れ、比例代表で復活当選した苦い思いがある。
 選挙支援(資金)と票田を得るがために、地元の有力団体である聖隷福祉事業団に覚えを良くする為には、いろいろと策を練るというのも考えられなくもないが、浜井卓男の単なる逃げ口上であろう。
 一方で、議長を花道に勇退する意志表明か、又は、引退するから見逃してくれと、本紙へのメッセージのつもりか「次の県議選には出馬しない」とも語っているようだ。こちらについては大賛成である。何なら今すぐでもかまわない。


静岡県議会議長浜井卓男

敬天ブログ敬天新聞トップページ敬天千里眼