ACC潜在心理研究所に科学的要素はあるか?

(敬天新聞4月号)


(1回4万円かかるリモートヒーリングとは、(相談者が癒してあげたい)遠方にいる相手の意識にアクセスし、遠方の相手を幸福にしてあげる事…これが霊感ではなく科学的なものだと主張するのだが)

霊感商法とチャネリングの違いは???

 最近の霊感商法や開運商法には、一見ではそれと分り難い物が多い。
「貴女が今、悩んでいるのは五〇〇年前の御先祖様の不貞行為の因果です。祈祷して魔除けの御札を購入すれば祟りは無くなります」
などと分り易い手口なら詐欺だと判断し易いが、この様なダイレクトな物は少ない。
 多くは、「先祖の霊を清めるのには貴女の努力が必要だから心理学の勉強会に参加し自分を見つめ潜在的な心理状態から変えて〜」と言った無形のスタイル、商品を介在させず、心のケアやトレーニングや癒しという漠然としたもので金を巻き上げていくマニュアルに変わって来ている。
「チャネリング・チャネラー」とは霊や神、宇宙人など絶対に面と向ってお話し出来ない「存在」と、超能力めいた力で対話する―事が出来ると自称し金を貰うエンターテイメントだ。日本的に言えば、客から頼まれてその人が希望する「霊」を体の中に取り込み霊の代りに話す霊の媒体≠ノなってあげる事、つまりは霊媒師≠ナある。
 日本語だと霊媒師≠ニ怪しげな響きを持つが、チャネラーと片仮名で表すとそれらしい職業・肩書きとなり、占い師と同列に感じさせられてしまう―言葉の「魔力」というやつだろうか。
 日本にも古くからイタコさんという商売があり、チャネリング自体はエンターテイメントとして悪い物だとは思わない。占いビジネスと同様、顧客満足とチャネリング価格が一致すれば立派なビジネスだ。しかし、まやかし風のチャネリングが存在する事もまた事実。

チャネリングが霊能ではないという主張

 川上光正なる者が主宰するインターナショナルホリスティックヘルス協会というヨガ商法≠中核とした、幹部八名スタッフ全て入れても二〇名に満たない小さなグループがある。川上光正以下は、仕切り役の佐多美佐を筆頭に何故か女性ばかり。六〇をゆうに超えるが、ボディビルやヨガで鍛えた肉体を持ち、精力絶倫であろう川上にとっては正にハーレムのような女の園だ。
 この川上ヨガグループが「ACC潜在心理研究所(以下ACC)」という名称で各種スピリチュアル商売に手を染め、ACCオリジナルのチャネリングメニューを持っている。ソウルチャネリングと言うらしい。
 前記の通りチャネラーは霊や神、宇宙人などと交信するコトを売りにしているのだが、ACCのチャネリングはそんなありふれた物ではない。
 まずはペットチャネリング。本紙では過去にペットと会話して、ペットの悩みを聞きペットの心理カウンセリングをする「アニマルコミュニケーター」という乞食商売がある事を報じたが、ACCの場合はそのペットの前世までチャネリングによって調べ、ペットと飼い主との円満な関係を導いてくれるそうだ。
 また「リサーチチャネリング」という凄まじいチャネリングも行う。
 リサーチチャネリングとは、相談者の「仕事上の、取引先の社長や責任者の本音」をチャネリングによって見抜き、相談者のビジネスを成功に導く事だそうだ。ふざけている訳ではないらしい。取引先の社長の写真を持ってくれば、その写真から「社長の意識」にチャネリングする、つまり、社長の意識と交信するそうだ。
 馬鹿か?と思う以前にこれはチャネリングではなく占いと言った方が客が納得するんじゃない?とACCのピンボケな商品構成にサジェスチョンしてあげたくなってしまう。
 また、下記の領収書画像はACCの行う「リモートヒーリング」の領収書だが、この1回あたり4万円かかるリモートヒーリングとは、相談者がACCのヒーラー(癒し治療者)に、両親や恋人など「癒してあげたい相手」の写真かなんかを見せると、ACCのヒーラーが遠方にいる相手の意識にアクセスし、遠方の相手を癒し幸福にしてあげる事―だそうだ。
 これが霊感ではなく科学的なものだと主張するのだが、そもそもその癒しの瞬間、相手のいる場所をGPSも使わずに特定するなんて事、科学や心理学ではなく、間違いなく霊能力・超能力のなせる業だと思うのだが。…?でなければ。

科学的根拠に基づかない「研究所」

 笑ってしまうのはACCがこのめちゃくちゃにオカルトチックで霊能力的なニオイを漂わせるソウルチャネリングを、自身では「霊感的・霊能的なものではない。潜在意識の覚醒を促すものだ」と言い切っている所だ。
 死んだ人の写真からその人の念波にチャネリングする、これが霊能力でなくて何なんだ?と、単純なツッコミ一つで崩壊しそうな理論だが、まあそういう事に納得してACCに気前よく金を払う人間がいるのだろうから「蓼食う虫も好き好き」って事で部外者として文句は言うまい。
 ところでこのACC、「ACC潜在心理研究所」の名称が示すように、人々の「潜在心理」をカウンセリングする潜在心理カウンセラー≠養成する講座を開いている。
「心理カウンセラー」に国家資格や公的な許認可は必要ないので、誰でも今日から心理カウンセラーを名乗る事が出来る。しかし精神病や心の病気を、専門家でもない人間が憶測で助言などして大変な事になったらマズいだろう、という気持ちと倫理観から、普通の人は自分の事を心理カウンセラー等とは(恥ずかしくて)名乗らない。
 ACC潜在心理研究所では、たった四〇時間の講座受講だけで、川上が理事長と名乗る「日本潜在心理カウンセラー協会」認定の「『初級』潜在心理カウンセラー」資格が貰えるそうだ。心の問題を解決するカウンセラーに「初級」も中級もないだろ?と受講者が不審に思わないのか不思議な資格である。
潜在心理≠フ意味は、「(胎児期も含む)生後から今に至るまでの経験によって潜在意識下に蓄積され今の自分を形成している『心理』のコト」だと言う。至極当たり前の話。
 しかし、同じ顔ぶれの連中が、片や「貴女の悩みは先祖の因果」と霊感的・超常現象的な方法を使って困り事を解決し、片や「悩める人を助けるには『過去の経験からくる潜在心理』を聞き出しカウンセリングする」なんて正反対の理論で講座運営するなど客は不可解に思わないのだろうか?
 悩んでいる人に対してマトモな心理カウンセラーとしてビジネスするには、本当の心理学者やプロの医者と同じ土俵で勝負しなければならない。ゆえにその能力や実績がない者は、チャネリングと言ったイロモノで商売しなければ直ぐボロが出てしまうのだろう。
 しかし、イロモノのチャネリング商売の実績しかない者が、潜在心理カウンセラーといった本職のセラピスト紛いのコンサルタントを養成しておかしなコトにならないのだろうか?
 まあ、ACCの潜在心理カウンセラー養成講座を終えた者に、カウンセラーの仕事が来るとは思えないし、パンフレットで謳っているような「企業からの社内カウンセリングの依頼」など、一〇〇%あろう筈がないから、この商売の「二次的被害者」は生まれる筈もないが。

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