擬装請負派遣アンツのルーツ、佐川急便・擬装請負幹事会社

(敬天新聞09年2月号)

深夜に多人数でオートロックくぐってどう今後を話し合う心算だったのか?

アテナでの事故を裏づける密山のメール

 大手DMデータ管理業株式会社アテナ(渡辺剛彦社長)の擬装請負と管理下で働かせた労働者の怪我に救済も謝罪もなく、被害者が謝罪の無い事を怒りその謝罪を求めると、事故について「そういう事実はない」と言い出す居直りぶりに、本紙は激しい憤りを感じている。
 倒産した請負会社アンツネクスト(密山貴志社長)から、親会社で本紙追及中の人材派遣会社アンツ(長尾康裕社長)を経て、アテナに二重派遣され、アテナ社員の管理下で就労中に怪我をした被害者がいる。
 しかし被害者は管理者であるアテナからは労働中の事故であるのに救済の訴えを無視され、派遣元のアンツネクスト密山からは夜襲され「労働基準監督署にチクるなよ」と脅迫を受けた。二重派遣で労働賃金をゴッソリ抜かれ、怪我した上に脅迫という三重四重の被害にあった訳だ。
 アテナ新東京物流センター内・通称「ホロニック部署」において、アテナ社員の指揮命令下で被害者が怪我を負ったのが昨年の九月二十九日。アンツ子会社のアンツネクスト密山社長が多人数で、被害者の自宅のあるオートロックのマンションのロックをすり抜け、被害者自室のドアを叩きブザーを鳴らしながら脅迫を続けたのが十月五日の深夜。社長密山が自分の携帯から被害者携帯にメールを送ったのは、被害者宅にカチ込んで数時間後の午前一時
 その時送られてきたのが上記画像のメールだ。
 この画像は密山らが被害者マンションにオートロックをすり抜けて忍び込んだ後に、被害者の「怒りと『恐怖』感」を懐柔する為に送ったものだ。

脅迫の存在も間接的にメールが裏づけに

 アンツ長尾康裕社長にもアテナ渡辺剛彦社長にも、夜中の一時にアンツネクスト密山から送られてきたメールの「お互いの不利益」という言葉の意味を考えるべきだ。
 脅迫にならぬよう配慮した、最大級の脅し文句だったんだろうが、「貴方の不利益」じゃなく「お互いの不利益」と言ってしまうバカさ加減。
 被害者によればアンツネクストの密山は、今ある事情≠ナ連絡が取れない。だから、アンツやアテナに対してお喋りできない密山≠フ代わりにに絶対謝罪させねばと思っているそうだ。
 アテナの現場監督は、昨年九月二十九日にアテナの新東京物流センター(千葉県船橋市西浦3ー6ー1)ホロニック部署において被害者が構内労働中に被災した労働事故自体を「そういった事実は無かった」とうそぶいたり「アンツと話してくれ」と逃げを打っている。
 しかしこの現場監督は口は災いの元という言葉を知らぬのか、『言質を取られる』という経験がないのか、馬鹿なことを口にしたものだ。事実はないというなら「アンツと話してくれ」という言葉は何を意味する?
 アテナについて被害者がアンツに話すべき事で、アテナ現場監督が発言する元になる事、アテナとアンツと被害者という三者が登場人物として共通する話といえば、アテナ新東京物流センターでの労働災害≠オかあり得ないではないか。

アテナの「事故はなかった」発言が火に油を…

 普通この手の労働災害は、時間と共に被害者側の怒りも鎮火してゆくのだが、今回はアテナとアンツの対応が悪過ぎ、被害者の怒りは増すばかり。話し合い・交渉の余地など一切ないそうだ。
 あるのは構内労働中に怪我をし血だらけになって救護を求めたのに、何の対処もせず無視して現場から追い出した事を「謝罪しろ!」という被害者として当然の怒りと、真実隠蔽をしようとしたアテナやアンツネクスト(及びアンツ)の姿勢に対する憤りだけという。
 マンションに多人数で押しかけられた時は恐怖感に駆られたが、なぜ何の非も無い自分が泣き寝入りしなければならぬのか?という疑問と義憤で、もう捨て身でアテナやアンツの不正を徹底断罪したいという。本紙も被害者の「本気」にアンツ徹底糾弾に更に尽力せねばと心構えを新たにした。

佐川急便協力会社の「擬装請負幹事会社」制度

 人材派遣アンツらが、大手DMデータ管理業者アテナ、玩具のバンダイ系列ハピネット等に労働者を口入し「擬装請負」に手を染めるようになった経緯が見えてきた。
 本紙ウェブサイトではアンツの擬装請負糾弾シリーズのスタート当初、アンツが労働者を遺法派遣し負傷する被害者が出たのは佐川急便だと報じていた。
 後に怪我をしたのは佐川急便の構内ではなく、アテナの新東京物流センターだと言う事が分ったのだが、それまで佐川〜佐川と騒いでいたのには理由があった。
 一つにはアンツ社長の長尾康裕氏が佐川急便の労働者から出世して独立したという事。
 もう一つは、アンツの遺法派遣先の多くには、佐川急便系の派遣会社(佐川グローバルロジスティックスなど)が絡んでいて、アンツは佐川急便の荷積み荷下しなどの軽作業請負の時も度々佐川グローバルを通す孫受け状態で仕事を貰っていた……という話がごちゃ混ぜになっていたためだ。
 それで、被害者が怪我をしたのも佐川急便配送センター系の構内労働においてである、と誤解して報じてしまったのである。
 ところで佐川急便ではかつて労災事故が起こった事があった。
 その際、佐川急便が執った措置が、現在のアンツなど中小の人材派遣会社が擬装請負に走らざるを得なくなった基本のレールとも言える擬装請負幹事会社当番制度という物である。

佐川急便営業所労災事故後の「協力社会議」

 佐川急便板橋営業所で労災事件が起るまでは、倉庫内軽作業等は佐川急便自ら、色々な派遣会社に直接依頼していた。 しかし労災事故が発覚して、佐川急便は協力会社を集めた「協力社会議」を開いた
 協力会社とは佐川から倉庫内請負軽作業を受注している請負会社や派遣会社のこと。この協力社会議で当時の佐川急便部長から協力派遣会社に暗黙の命令が下されたそう。
 その内容は「佐川急便の営業所」を派遣会社が丸ごと請負契約し、その後はその派遣会社が他の請負会社に下請に出そうが佐川本体には関係ないとする、というもの。
 協力会社間で擬装請負幹事≠取り決め、佐川急便各営業所と擬装請負幹事会社≠ニは業務委託契約をする。そして擬装請負幹事会社≠ニ他の協力会社や新参の請負会社など等とは「派遣契約」を結ぶ。
 これは別に佐川急便が指示した証拠も何も残さないから擬装請負幹事会社≠ゥら先は正規の人材派遣会社でなくてもよい。極端な話、軽作業請負業者以下の大学サークルのような子達に一括で業務委託しようが佐川本体には何の被害も及ばない。
 勿論、佐川の営業所を丸ごと派遣会社等に業務請負させるわけだから、そこからの下請の労働者達の社会保険、雇用保険、労災保険等は全て無視する構えなのだろう。
 佐川急便の労災事故後の協力社会議で暗黙の命令となった、この擬装請負幹事会社当番制度≠ェアンツがDM代行大手のアテナやナムコバンダイグループのハピネット、佐川急便本体やユニティグループなどで行なっている擬装請負システムの骨子となっている事は間違いのない事。
 ちなみにハピネットの場合は、グッドウィルグループが潰れるまでは、ハピネットの倉庫作業を佐川グローバルロジスティクスを介し、グッドウィルで雇った日雇い労働者達に二重派遣の形で労働従事させていた。

 この擬装請負幹事会社当番制度≠ヘ請負業務(遺法派遣)を発注する側にとっては、自社が免責できる非常に素晴らしいシステムと思えた事だろう。

安い請負料じゃ雇用もいい加減になるだろうが

 また、アンツなど最終的に労働者を手配する派遣会社等の協力会社に佐川が払う金額は、たったの「時給1,330円」なのだそうだ。一企業に対して、たかが時給1,330円で請負業を発注し、何かあればアウトソーシングだと言って逃げる事が出来るのだ。それでも請負業者は仕事欲しさに嫌々擬装請負幹事会社≠フ当番を引き受け、まさに『貧乏くじ』を引いてくれるのだからこんな美味しい話はない。
 アンツのような軽作業労働の請負業務は、人さえ集めれば誰でも出来るものだから請負単価が低いのは分る。しかしそれにしても会社として、時給1,330円での業務請負なんて、技術力を持ってシステムエンジニアとしてフリーで働いている子達なんかの半分以下の報酬ではないか?
 こんな個人時給に毛の生えた程度の薄利商売では他人の社保や労災なんて気にしてられないのも分らないでもない。
 しかし現に負傷し救護を求めた被害者を無視したアテナ、労基への口封じのため「夜襲」までするアンツグループの不道徳、その基礎を作った佐川急便らの悪徳をこのまま許す心算はない。

敬天新聞ホームページ敬天ブログ | 人材派遣アンツの偽装請負二重派遣シリーズ