人材派遣アンツ・ユニティグループと他の偽装請負派遣グループ

09/01/10

人材サービス業者(業務請負・一般派遣)らは認識不足名だけ

 労働者への時間外勤務などの指示・指揮命令は請負業者が行なわなければならない。
 しかし、本紙追及の人材派遣業アンツグループ(というかユニティグループ?)以外の、業務請負業者達も(大手から零細まで)、ほとんどが長年に亘って発注者(つまり事実上の派遣先=jに指揮命令させてきている。つまり事実上の労働者派遣に当たる「偽装請負」と言うものを、未だに多くの請負業者が遺法派遣行為と知ってか知らずかやっている。
 そして、結構な割合で、自社がやっている請負が違法行為という認識を持っている請負業者は少ない

 恐らく多くの請負業者には悪意がないように思われる。筆者の知る限りでは、請負業者で40代〜30代の若い経営者が請負を始めたのは、多くは(アンツグループの長尾康裕氏は違うらしいが)大学の頃…の人達が多い。
 憧れの学生起業家の第一歩で広研やイベント系のリーダーが、広告代理店やコンサル関係の先輩づてで請負バイトの子達の斡旋を頼まれ、サークルの後輩の子達をバイトさせ、イケイケのサークルのりでやってたら案外上手く続いてしまった……みたいなのりだ。
 アンツ・ユニティグループ、というかユニティの方が大きいらしいので、ユニティ・アンツグループの長尾氏を始めとした経営陣の性格は知らないが、学生起業で始めた請負業者達は「サークルの後輩には顔が立つし、こんなんで儲かっちゃっていいの?」など、ほくほく喜びこそすれ、自分らの行為が労働者派遣法違反の偽装請負なる遺法派遣業だというリスク認識を殆どしていないのではないだろうか?

労組ユニオンの叫ぶほど請負業者はワルじゃない

 派遣村・湯浅誠等の労働組合ユニオン商売の奴らがマスコミを煽るために叫び続けているように、「派遣業者は全て労働者のカスリを獲って食う。労働者のマージンをぼったくる悪徳商人です!」なんて感覚は、多くの請負業者らにはわけのわからない屁理屈にしか聞こえないだろうし、自分達のこの若くて元気なビジネスが貧困ビジネスだなんて意識も薄いだろう。(聞いたところ、アンツ社長長尾氏の方は学生起業とかとは違い貧困ビジネス意識があるかどうかは定かでない)
 もっとも学生起業から始めた請負業者達の事についても筆者の周囲からだけの勝手なイメージだから、全ての軽作業業務請負業者・総合人材サービス事業をしている一般労働者派遣業者達がみな明るいサークルのりで悪意がないとも思わない。学生起業の請負業者バナシは単なる一例である。

アンツさんは……ほんまもんの「貧困喰い」かも知れない

 ちなみにアンツグループ社長・長尾康裕氏の場合は、学生起業ではなく佐川急便で働いていて、先輩かなんかの請負業独立にくっついて行き、(業務請負業のうま味を知ったのか業務請負業をやるなら労働者ではなく業務請負の経営者にならねば一生浮かばれないと一念発起したのか知らないが)そこから更に独立してアンツグループの前身を立ち上げたのだとか。
「アンツグループの偽装請負特集」を始めた頃は、アンツ社長も筆者の知り合い等のような学生サークルのノリで和気藹々と偽装請負をやっていたのかな?と思っていた。なので少し(事情わかるなぁと思って)親近感があったが、アンツ長尾氏の場合はそういうノンキな話ではなく、佐川急便の軽作業現場で働く、底辺の貧困層で生きる請負業務労働従事者が、生きる為に仲間を食って上前をはねあって生きていく、何だか本当に貧困層ビジネスの人なんだなぁと、ちょっとドン引きしてしまった。
 アンツのグループ会社のウェブサイトには、軽作業現場で働く請負労働者の人達が笑顔でサークル感覚の集合写真に写っていたが、ほんとは全然サークルのりとは程遠いって事じゃん…。

 請負業者として比べても貧困層の中の人が、そこから成り上がるには、学生起業から始めた人達とはベースが異なる。
 学生起業などの場合は、筆者の知り合いでも6大学や一流大学間の仲間交流だと、基本、親御さん関係に超金持ちなどが多くいて、請負をはじめるのも都内の西武やパルコから直、もしくは電通やリクルートをはさんでイベント会場の搬入搬出やなんかの軽作業を破格の値段で貰えたりした。また、大手メーカー関係の息子などを通じての工場内作業請負などをとっても「坊ちゃん価格」でお仕事をいただけたりと。
 だから、働くバイトの子達もいい給料を払えて、みんながハッピーのビジネスである事が多かった。今はどうだか知らないが。

 対して、アンツ長尾氏らは単なる佐川急便の労働者であり、その労働者が独立します仕事下さいと言ったって佐川急便が「ハイ了解!」と気持よく業務委託するはずがないし、親戚縁者でも息子の友達でもない奴に「ご祝儀価格」の業務委託料金を払ってくれる筈がない。結果として、アンツのような労働者側からの脱出のための独立の場合、極端な話、一般労働者よりも安く不利な条件でなければ仕事を貰えないだろう。一点だけ、委託企業側には人材を雇用するリスクがなくなるというメリットはあるが、それにしたって請負業者など掃いて捨てるほどいるのだろうから、ダンピング競争させて選べばいいだけの話。

 残る道はアンツグループがいかに安く仕事を請けるシステムすなわち「大貧困労働者ネットワーク」を構築できるかである。うまいこといって、ホームレスなどをゲットできれば御の字だし、とにもかくにも佐川急便が委託料金を値上げしてくれることはこの先100年かかってもないだろうから、偽装請負で働く子達にいかに支払いを少なくするかが、対佐川急便との遺法派遣ビジネスのネック。最終的には、超格安の業務請負契約をしたアンツグループで働く労働者達がキツい目を見ることになる。
 また、アンツが佐川急便他から請け負っている格安の業務請負あきないでは、社会保険やら雇用保険やらの余裕もなく、結果、「総合人材サービス事業企業グループ」とかいいつつ年商だけはユニティなど80億だかあるそうだが、薄利とリスクの高さを考えるとユニティアンツグループらも、佐川急便他の大企業にいいように偽装請負をさせられて尻尾切りさせられる哀れな被害者ともいえなくもない。

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