練馬区役所から練馬区建設業協会所属業者へ、入札情報漏洩の疑い その7

2010/05/07

 練馬区(志村豊志郎区長)は、本年度の建築工事発注の指針として、昨年より適用していた『練馬区内事業者優先発注規準』を継続するとしている。これは、電子入札サービスに工事事業者登録をしているなかで、練馬区内に本店・支店(営業所)登録がある事業者を、優先して指名するというものだ。

 勿論、練馬区に技術者登録をしていることも条件である。「練馬区の公共工事は練馬区の事業者へ」という方向性には、何ら間違いはない。又、建築工事については、平成22年度に限り、区内事業者優先発注規準額を、原則の3億円から5億円に引き上げたことは、公共事業が減る中で事業者にとっての一筋の光明だといえる。

 だからといって、練馬区内建築事業者の全てに、分け隔てなく恩恵若しくはチャンスが与えられるものではない。寧ろ、事業規模の大きい物件は練馬区建設業協会(河端志郎会長理事=河端建設)に任せたいとの本音が見え隠れする練馬区経理用地課が、お得意とされる入札参加事業者数を誰かさんの耳元で囁く機会が増えるとの危惧もある。

 練馬区内建築事業者の大半が、単独での受注はもとより企業共同体にも参画できない弱小だとすれば、これまで以上に受注格差が広がるに過ぎないというものだ。所詮は、地元事業者優先を大義名分に、練馬区建設業協会に儲かって貰い、ついでに、そのお零れを頂戴しようとする、練馬区経理用地課の邪な思惑が透けて見えるようだ。

 今回、発注基準額が大幅に引き上げられたにしろ、そもそも受注希望のスタートラインにも立てない弱小事業者に加え、官民連合の後塵を拝する練馬区建設業協会の非加盟事業者にとっては、意味の無い施策ともいえる。さて、練馬区の『平成22年度公共工事発注予定』の概要は既に発表されている。

 主だった建築工事は50件近くあるが、目立つのが小中学校舎の耐震補強と、それに伴う大規模改修工事の案件である。以前、建築事業者に聞いた話しでは、3〜5ヶ月の工期で済む耐震補強工事は、何かと「おいしい仕事」らしい。本来なら、1件の案件で年間利益を稼げるに越したことはないが、実際は不可能だ。

 通常は複数の現場を掛け持ちせざるを得ないのだが、発注制限(品質確保の為)がある以上、あれもこれもと同時には受注出来ない。その意味で、数ヶ月の工期を上手く組めば、公共事業を多く受注できるからだということらしい。しかし、それを実現できるのもまた、練馬区建設業協会だけという話だ。

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