社主の独り言(辛口)

(敬天新聞10月号)

▼小泉さんが自民党をぶっ壊して、鳩山さんが日本をぶっ壊そうとしている。小泉さんの「自民党をぶっ壊す」という言葉が世の中に受けた時、自民党はその危険性を気付かなければいけなかった。一日にして崩壊となったと勘違いしている議員が多数いるようだが、小泉人気が実は民主党移行への始りだったのだ。どんな政策を施行しても全ての人の満足は得られない。

 自民党政策は多数派意見尊重だから概ね妥当政策となって、長く国民に受入れられた筈だ。それでは何故自民党政治が嫌われたのか。一番目はゴリ押しが目立つようになった。二番目は驕り昂ぶる姿勢が顕著になった。三番目は役所との癒着が酷い。四、利権政治が多くなった。五、未だに土建政治が地方発展の基本と考えている。六、無駄を省く努力をしない、使いきり予算の行政に注意・指導が出来ない。七、飽きられた。等がある。

 私のレベルでもこの位の事が浮かぶ。与党に対して野党は確かに正論が言い易い。しかも少数派だから正義にも見える。共産党や社民党は超極論だからスパイスの域を超えないだろうし、公明党に至っては政党というより宗教党だから国民を引っ張るだけの政策は持っていない。短所を攻撃するのは簡単だが、経営側になったら、仕事の出来る人も出来ない人もその家族も全て食べさせ、面倒見なきゃならない。好き嫌いは言ってられないのだ。

 そんな経営を自民党は逃げずにやってきた訳だから疲弊したのは事実だ。自民党というより、自民党と官僚が一致団結して、というより、官僚が自民党を上手に使って、まぁー、無難にやってきた。時には弱者や貧乏人を切り捨てた時もあったが、それでも騙されながら国民が支持してきた訳だから国民にも責任はある。

 しかし、その自民党に先の様な理由で国民はレッドカードを出したのだが、私が「飽きられた」を最後に述べたのは、政治は飽きるとか飽きないとかで支持するものではないし、自民党政治は良くも悪くも国民性にマッチした政治で日本国に受入れられ易い政治であるという事である。対して民主党は自民党の欠点を長く長く見てきたので、当分は攻め易いだろうし、透明化するだろう。長い年月の膿や垢を出す事には賛成だし、国民を愚弄するような秘密事項や隠し事を暴く事には大賛成である。

 これは民主党が政権を取らなければ出来なかった事。当分は期待感もあって人気は続こうが、早番に矛盾は出てこよう。ただ今回は多少の矛盾も織り込み済みで尚且つ民主党という部分もあるから、相当、国民も我慢する可能性がある。問題はこの間、自民党が立ち直れるかである。官僚の指示に従ってきただけの自民党がとても自前の政策を持っているとは思えない。

 自民党には地方の土方から上がってきた政治家が多い。浪花節や人情話で伸びてきた政治家が多いから年配者には受けるが、若者には受けない。しかも二世、三世の世襲議員にはその浪花節さえなくなって、ボンクラで情無しで坊ちゃんと来ているから益々庶民離れするのである。最後の一日で引っくり返せると言われるお涙頂戴の土下座選挙や身内が亡くなった時に使う弔い合戦選挙さえも、もう自民党に似合わなくなってきた。やるかやらないかというだけで、政策そのものはどちらがやってもそんなに変わらないだろう。

 八ッ場ダムをやるに当っては推進派と反対派がいた。推進派の中にはその地域を災害から守る、水を確保するという大義名分があったが、その費用対効果に異議を唱える人もいた。これらの大義に隠れて経済的利益を追求する一群の発言力が力を発揮する、その手助けをしたのが政権与党であった自民党なのである。

 そういう場合、反対派はその地域を守りたい、自然を守りたい、という少数派と体制に対して何でも反対というリベラルと称するどこからともなく集まってくる者の混合体である。その時、八ッ場ダムが出来ようが出来まいが直接生活に影響のない我々は何が起っているか知らないし、知ったとしても関係なく、意見も述べない。本当は税金が投入される大切な公共工事である訳だから無駄や不正がないか関心を持つ必要があるのだが、当事者以外は常に対岸の火事なのである。

 この国民性をいい事に当事者に任せる為、多数派が少数派を押し切り、強引に無駄な工事を進めて来た物が多数あるのである。必要な所に高速道路がなく、必要ない所に無駄な箱物、高速道路を作っている。何故この様な現象が起ったのか。政治家の個々の力である。有力政治家の力の差と官の驕りで、無駄や不条理が蔓延った。その見せしめとして八ッ場ダムを取り上げたのだろう。

 七割方完成した物を中止する事は、それこそ相当な無駄になろう。地元の人達の中には人生を翻弄された人もいよう。八ッ場ダム関係者には気の毒だが、一罰百戒を演じるのだろう。自民党の驕りや官の無駄を主張したかったのなら、長崎県の諫早干拓の方がまだ分り易かったかも知れない。休耕地が増える一方なのに、狭い有明海を埋め立てる必要があったのか。しかも埋め立てた干拓地に入植する資格のない娘や息子をヌケヌケと入植させていた県知事と自民党国会議員。その策略を実行した官の出先機関。

 こういった不正追及、不条理追及の人柱が八ッ場ダムという事だ。八ッ場ダム建設を中止する事で、悲喜交々を取り上げ、建設に至る経過を洗い出し、検証を試みる心算だろう。変革を求めた以上、何かが犠牲にならざるを得ないのは仕方がない事である。

 こうして書いてくると自民党の将来は真っ暗な気もするが、そんな事はない。民主党に対しての対立軸の問題である。政策で出そうとするから差が出ない。差が出なければ、今までの不正の積み重ねを暴露されるから、当分は国民は自民党に同情しない。そこで政治の本筋に戻って思想信条論を軸にすればよい。

 幸い、鳩山新政権はいきなり勇み足を行った。国民の了解無しに世界に向けて二〇二〇年までに温室効果ガスを二十五%削減すると演説してしまった。外面がいいのは結構だが、その皺寄せを国民に持って来られては困る。

 鳩山総理のいう友愛は国という垣根を越えて、世界と仲良くやって行くという発想みたいだけど、国が安定しないで、どうやって外国と仲良くやって行けるのか。アジアをEUみたいな圏内にしようというのが、どうも鳩山内閣の考えのようだが、陸続きのヨーロッパと島国の日本とでは環境が違う。伝統文化や歴史も違う。第一、国民性が余りにも違うではないか。民主党への対抗軸は国という垣根、国家という概念を持つ政党であるか、日本国民の利益が最優先であるのか、を問えばいい。

 中途半端な保守では埋没する危険性もある。宗教政党に媚を売ったりするな。場面を見て靖国参拝したり、しなかったりは止めろ。自信を持って信念を持って英霊には感謝の真を捧げよ。少なくとも今は姑息に足を引っ張らない方がよい。例えば鳩山総理の献金問題を追及するとか、新人議員の過去を洗うとか、そんなものはマスコミに任せておけばいい事で、自民党が国会で追及する様な事ではない。

 特に鳩山総理の献金問題は発覚した後に民主党が大差で勝った訳だから、国民は容認した訳である。また別の疑惑が出れば別だが、この問題を蒸し返すと天に唾する結果に成ろう。敗軍の将、兵を語らず。ただ、ひたすら野に下り懺悔と反省の日々で捲土重来を来すしかあるまい。

 例え敵方であっても、いい政策は認めるべきで、元王者として何でも反対だけはやめた方がいい。民主党への国民の期待は、自民党政権の五十年を検証してくれというのが大多数含まれている。そんな時、民主党政治家の個人的な揚げ足をチマチマ取っても国民に無視されるだけであろう。

 友愛は理想と現実の間で必ず矛盾を生ずる。その時に堂々と対立軸を掲げ戦えばいい。それしか勝つ道はない。その位国民は自民党に怒っているのだ。民主党と戦う最初のチャンスは永住外国人に対する地方参政権付与だろう。

 民主党の中にも半分近く反対派がいるので、法案として出せるかどうかは分らないが、鳩山総理そのものは「日本は日本人だけのものではない」という反日的思想家だから、何れ保守とは衝突する運命にあると思う。もっとも地方参政権付与法案が提出されたら、通る可能性大だから民主党内の良識派に潰して貰わないと飛んでもない事になる。

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