2010/06/12
ここ数年の詐欺手法の一つ、未公開株詐欺が下火となってきた。あの羽賀研二の犯罪要件も未公開株の譲渡に絡んだ詐欺と恐喝であったが、未公開株そのものが犯罪を匂わすフレーズとなって久しい。そういった中「今更〜?」と、詐欺仲間からも時代遅れを指摘されるような事を、つい最近になって始めた新参者がいる。
それが「ヒューマンメディカル株式会社」(港区赤坂7-9-5赤坂Qビル4階)で、代表を宮城孝洋という。ヒューマンメディカルの特徴としては、厚生労働省から有料職業紹介事業許可(許可・届出受理番号13-ユ-301777)を得ていることだ。事業としては、医療介護に特化した職業紹介であり、その分野では業界指折りの実績があるとのことだ。
更には、海外向け求人紹介をも手掛け、発展途上国への教育支援や医療援助(ボランティア)までこなすという、健全・優良企業であることを宣伝している。更に更に、事業収益は年々増進し、黒字化の安定期に入っているらしく、今後、短期間での株式公開を目指しているらしい。
極め付けは、来期の売上高予測が61億2,300万円というのだから、笑わずにはいられない。
桁が違うだろうと、突っ込みを入れたくなるが、短期間での株式公開を口にしている事から、記載ミスでの桁違いであれ最低でも6億円の売上高を示さねば、全ての辻褄が合わなくなる。
さて、大いに笑わせてくれるヒューマンメディカルだが、詐欺ネタは未公開株ではなく、自社発行債権の社債(少人数私募債)である。手にした未公開株が上場後に何倍にもなるといった従来の詐欺に一寸手を加え、上場間近を謳い企業社債を売り捌くというものだ。
一般消費者(=被害者)にしてみれば、株より社債のほうがリスクが少なく堅実な投資に映るのであろう。なかには「上場しなくても元本は最低でも保証される」と、勘違いしている者も多いだろう。当然、売り側(ヒューマンメディカル)は堅実にして安全な投資であると強調し売り捌くのである。
実際は、一国が発行する国債とて踏み倒されるリスクがあり、上場大企業ならいざ知らず、虚言まみれの未公開企業の社債など紙切れに過ぎないのが現実である。そもそも、社債発行は企業の借金を意味するもので、少なくとも上場を目指す企業がするものではない。
しかも、ヒューマンメディカルが宣伝する売上高と黒字決算が本当ならば、そこら中からカネを掻き集める理由など、微塵も無い筈なのだ。因みに、ヒューマンメディカルの社債発行は既に4回目を終えている。
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